なぜ起きる、地球温暖化
地球は太陽からの熱を吸収する一方で、一部の熱は宇宙に逃がしています。このバランスを保ち、生命が生きるために適した気温(現在の平均は15度)を維持しているのが大気です。
大気中に含まれる二酸化炭素(CO2)などには熱を吸収、反射する性質があるため、地球の適温が保たれています(これを温室効果と呼んでおり、CO2などの気体は、温室効果ガスと呼ばれています)。
ところが、私たちがエネルギーを得るために石油や石炭を大量に燃やし始めたため、CO2は徐々に増え、自然のバランスが崩れてしまいました。
温室効果ガスの濃度が高まれば、それだけ熱が放出されず気温が上がります。地球は余分な毛布に包まれた状態となっているのです。
どうなる、温暖化の影響
現在の大気中のCO2の濃度は、2011年から2020年の期間で世界平均地上気温は約1.09度上昇しています。そのため、世界中で氷河が溶け出したり、南極周辺の氷が小さくなったりする事態が起きています。日本でも大型の台風が数多く上陸するなど、温暖化の影響と見られる異常気象が起こっています。
さらに、世界の平均気温は、21世紀末までに3.3度~5.7度上昇すると予測されています。氷河期の頃の世界も今より3度~6度低かっただけと言われ、しかも気候の変動は数万年単位のゆっくりとしたものでした。ところが、現在は、地球が過去に経験したことのない急激な温度変化が起こっているのです。温暖化は地球の気候と生態系を乱し、海面の上昇、洪水や干ばつの増加、それに伴う食糧危機など、世界的に深刻な事態を起こすと考えられます。
日本への影響も深刻です。地球温暖化が進行した場合、日本にもこれだけの影響が現れると予測されています。
大都市の多くが海面下に
1901年から2018年の間に、海面の水位は約20センチメートル上がっています。2100年までに、1995年~2014年と比べて、最大101センチメートル上昇すると予測されています。海面水位の上昇が続くと、東京都心部をはじめ、日本沿岸にある都市圏の多くが水没の危険地帯となる可能性があります。
水不足や水害が深刻化
集中豪雨による水害の生じる地域が増える一方、干ばつによる渇水の生じる地域が各地で増加します。そのため、飲料水、農業用水の不足がますます深刻になります。
生態系の急変、食料不安に
気温上昇に適応できない動植物は、行き場を失い絶滅する恐れがあります。ブナ林の多くが消滅し、一部の魚介類が減少。国産米の栽培にも影響を与え、特に西日本では高温による生育障害が起こることも予想されています。
熱帯伝染病などの流行
マラリアなどの媒介となる蚊などの生存範囲が拡大するため、熱帯地方特有の伝染病が日本でも流行する恐れがあるほか、熱射病の発生や、高齢者の死亡率が増加します。これまでに見られなかった害虫や雑草も増えていきます。
みなさんの生活と地球温暖化との関係
家庭で電気、ガス、灯油、ガソリン、水を消費すると多くのCO2が発生します。火力発電のため石油を燃焼させたり、みなさんの家庭でガス、灯油を燃焼させたり、自動車を運転してガソリンを燃焼させるためです。また、上下水道を浄化するのに多くの電力を必要としており、その発電のために多くのCO2が発生します。
CO2はみなさんが普段、何気なく使っている製品にも多く関係しています。なぜなら、その製品の製造、流通、廃棄の各段階でCO2が多量に発生しているからです。日本では、CO2排出量の約16%が家庭生活から間接的に排出されています。
例えば、ティッシュペーパーの場合、原料の木材を海外から運び、工場で製品を製造し、みなさんの家庭まで運ばれ、最後はごみとして処理されます。これらの全過程で多くのエネルギーが消費され、多くのCO2が発生しています。
そこで、不要なものは買わない、買ったものは大切に使う、ごみは分別してリサイクルに出す(資源循環)といったことがCO2の減少につながるのです。もちろん、家庭生活を営むのにエネルギーは必要不可欠ですが、必要以上のエネルギーの浪費は地球温暖化を進めてしまうことに注意してください。